【月を味方につける】〜月のリズムに合わせた生活〜

  • 08/09/2023
  • 22/11/2023

月のリズム(月相)に合わせた生活とは?

月相とは、日々移り変わる月の形のこと。

月相のサイクルは光が全くない新月から始まる。月は新月から徐々に光を増して満月に達し、そこから光の領域は減っていって次の新月へ至り、また新たなサイクルが始まる(詳しくは「月相とは」をどうぞ)。

西洋占星術師のデイン・ルディアは、人間はその人が生まれた月相によって8つのタイプに分けられるという考え方を提唱した(この考え方は「月相占い」と呼ばれることもある)。けれども私たちが月相から影響を受けるのは、生まれた時だけではない。月相の影響は私たちの日常生活にも及んでいるし、私たちはその影響を意識的に使うことができる。

月のリズム(月相)に合わせた生活(ここでは「月相生活」と呼んでみる)とは、月相が私たちに与える影響を意識して、その影響を自分の夢や希望を叶えるために、あるいは自分自身を何かから解放したり、癒やしたりするために使うということである。

この記事で紹介する月相生活の内容は、基本的にはルディアをはじめとした西洋占星術師や、月相に合わせた生活を実際に送っている人たちが書いた本をもとにしていて(詳細は文献参照)、そこに私自身の経験から得た知識を加えてある。

ところで、月相の分け方には絶対的な決まりはなく、細かく分けようと思えば29相に分けることもできるし、逆に大まかに分けようと思えば4相に分けることもできる。この記事ではルディアがそうしたように月相を8つに分け、それぞれの相の特徴や、それぞれの相に沿って日常生活の中でするとよいこと、また、なるべく避けたほうがよいことなどを紹介している。

8つの月相は次のとおり。

🌑 新月

🌒 三日月

🌓上弦の月

🌔 十三夜

🌕 満月

🌖 種蒔き月

🌗 下弦の月

🌘 バルサミック・ムーン(二十六夜)

上の8つの月相では、それぞれの月相がだいたい3日半続く。月相生活では①月相、②月が満ちていく時期、③月が欠けていく時期が重要な要素である。

月の光が増していく時期が「月が満ちていく時期」、逆に光が減って月の形が細くなっていく時期が「月が欠けていく時期」と呼ばれる。細かいことを言えば、新月の暗闇のあと、光が生じた瞬間から満月までが満ちていく時期であり、満月のあとで光が欠けはじめた瞬間から次の新月までが欠けていく時期である。

新月は欠けていく時期のピーク(つまり月は欠け切って暗闇となっている)。『私たちが見ている月(Luna Cognita)』の著者で、60年以上にわたって月の観察を続けているロバート・ガーフィンクルによれば、人間にとって新月のあとで再び月の光が見えるようになるまでにはたいてい約20時間かかる(ただし、約12時間で最初の光を見たという報告もあるが)。

新月とは反対に、満月は満ちていく時期のピークであり、そこから光は少しずつ衰えていく。

上で挙げた8つの月相では、新月の相は欠け切った月(新月)と満ちていく月(新月のあと数日のあいだの、光を増していく月)を含んでいる。同じように、満月の相は満ち切った月(満月)と欠けていく月(満月のあと数日の間の、暗闇が増していく月)を含む。

ちなみに上では8つの月相を挙げているが、これは別に「月相生活では必ず8つの月相それぞれの時期に何かに取り組まないといけない」と言っているわけではない。たとえば『月とともに生きる:月相の魔法を使う生活(Lunar Living: Working with the magic of the moon cycles)』の著者、カースティー・ギャラガーは、8つの月相すべてを生活に取り入れようとして結局ほとんど何もできないということになるよりも、8つの月相のうちいくつかを選んで、そのいくつかの月相と真摯に向き合うほうがよいと書いている。

8つのうちどの月相を選ぶかはその人次第で、正解はない(そして間違いもない)。

どの月相を選べばよいかわからない場合は、下の「8つの月相」で紹介しているすべての月相で、するとよいことを試してみたり、いくつかの月相を選んで同じことをしてみたりすると、どの月相を自分の生活に取り入れるのが一番よいか、はっきりするかもしれない。

ところで、月相生活はいつはじめるのがよいのだろうか? 月相のサイクルでは新月がはじまりなので、新月にはじめるのが理想的ではある。ただし、月相生活をはじめてみようと思った時がたまたま新月だったということはあまり多くなさそうなので、たとえば月相生活をはじめてみたいけど今は満月という場合には、次の新月を待つまでにできることがいくつかある(満月は何か新しいことをはじめるのに最適な時期ではないので、満月に月相生活をはじめるよりも次の新月を待ってはじめるほうがおすすめ)。

新月を待つあいだにできることの例としては、

  • 次の月相のサイクルで何をしたいか(実現したい夢や望みなど)を考える
  • 月相生活でキャンドルや天然石(水晶など)を使いたい人は、気に入ったものを選んで準備する
  • 月相生活では、自分にはもう必要のなくなったもの(考え方や人間関係、環境など)を手放すことにも取り組むので、何かを手放す方法について調べてみる ☞ 手放す方法は色々あり、たとえば瞑想(ひとつのことに意識を集中させること)や、アファメーション(ポジティブな言葉を繰り返すこと)、日記をつけることはよく使われる方法

月が満ちていく時期と欠けていく時期:行動を起こす時と手放す時

大雑把に言って、月が満ちていく時期は新しく何かをはじめたり、行動を起こしたりするのに適した時期で、月が欠けていく時期は自分のしたことを振り返ったり、学んだことを他の人たちと共有したり、必要のなくなったものを手放したりするのに適した時期である。

8つの月相によるタイプ分類(月相占い)を提唱したルディアによれば、月が満ちていく時期は、意識して起こすのではない直観的な行動の時期である。この時期には、私たちは過去を捨て、成長するための新たな構造(精神的なものであれ物質的なものであれ)を作る。

これに対して月が欠けていく時期は、私たち一人ひとりが満月の光のもとで得た新たな気づき(満月はそれまで見えなかったものが見え、わからなかったことがわかる時期)を意識的に育て、その意味を他者と分かち合う時期である。月が欠けていく時期はまた、永遠に消えることのない自己(つまり私たち一人ひとりの絶対的な個別性)を手に入れる可能性のある時期でもある(詳しくはこちらの記事をどうぞ)。

ただし、月が満ちていく時期と欠けていく時期をどうとらえるかは人によって違っている。たとえば『月の豊かさ:月相を使ってよろこび、穏やかさ、人生の意味を育てる(Lunar Abundance: Cultivating Joy, Peace, and Purpose Using the Phases of the Moon)』の著者、エジー・スペンサーは、8つの月相は陰(静かに休む時期)と陽(行動を起こす時)とを繰り返すと述べている(新月は陽、次の三日月が陰、上弦の月は陽というように)。つまり、彼女の考えでは、月が満ちていく時期や欠けていく時期はそれぞれ特定の性質を持っているのではなく、どちらの時期にも新しいことをはじめたり、行動を起こしたりするのに適した時期と、休んだり何かを手放したりするのに適した時期との両方が含まれるということになる。

この記事で紹介する月相生活では、月が満ちていく時期は行動を起こす時、欠けていく時期は必要のないものを手放す時ととらえている。そう考えるほうが私には納得がいくというか、実感に合っているからである(もちろん「いや、その考え方には全然納得できない、むしろ逆のほうが納得がいく」というような人がいても全然構わない。月相生活には正解も間違いもないので、その場合はその人の解釈に沿って月相生活を送ればよいだけの話である)。

月が満ちていく時期

月が満ちていく時期は、新月の際に叶えたいと思った夢や願いを実現するために計画を立て、実行に移すのに適した時期である。

『タイミングの力(ちから):自然と月のリズムに合わせて生きる(The Power of Timing: Living in Harmony with Natural and Lunar Rhythms)』の著者、ヨハンナ・パウンガーとトーマス・ポッペによれば、月は身体に影響を与えるが、月が満ちていく時期(満月を含む)は、(栄養などを)供給する、取り込む、増大する、吸収する、力をつける(増す)、エネルギーを蓄えるといった性質を持つ。そのため、食べ物に加えて薬や化粧品も含め、身体を強化するために取り入れられたものは、月が満ちていく時期に特に効果を発揮する。

また、月が満ちていく時期には取り込む、吸収するという性質があるので、この時期にはいつもと同じ食生活を送っていても体重が増えやすい。ということで月が満ちていく時期は、食事制限によるダイエットには向かない時期である。月が満ちていく時期はむしろ、力をつける、強化するといったこの時期の特徴を活かして、スポーツをする、運動によって体を鍛える(とまではいかなくても強度を少し高める)ほうがより適している。運動によって体を鍛えるといっても、筋トレとか水泳とか、「トレーニング」「種目」みたいなものばかりが当てはまるわけではない。たとえばアメリカの政府機関が公表している運動のガイドラインでも、イギリスの政府機関が公表している運動のガイドラインでも、買い物の荷物を持つだとか、本格的なガーデニングをするといった日常生活の動作でも、筋肉を維持したり、鍛えたりすることができるとされている。

パウンガーとポッペはまた、月が入っている星座も身体に影響をおよぼすと述べている。西洋占星術では、12星座の各星座が支配(というか担当)する身体の部位があるとされている。大雑把に言うと、一番はじめの星座である牡羊座は身体の最も上の部分(頭や脳を含む)を担当しており、そこから星座ごとに担当する部位が少しずつ下に移動する。最後の星座である魚座が担当するのは身体の最も下の部分で、つまり足やつま先である。

月が入っている星座や月相は人間の(そして人間以外の生き物の)体にいろいろ影響を与えていて、私たちはこの影響を意識的に使うことができる。たとえば山羊座の担当部位には肌も含まれるので、月が山羊座に入っている日は特別なスキンケアに最適。上に書いたように、月が満ちていく時期には(栄養などを)供給する、吸収するといった性質があるので、洗い流さないタイプのパックなど普段のスキンケアに何かを「足す」ケアがおすすめ。

月が欠けていく時期

月が欠けていく時期は、自分のしたことを振り返ったり、必要のないものを手放したり、自分自身を癒したりするのに適した時期。欠けていく月は、私たちに自分の内面を見つめるよう促してくれる。月が欠けていく時期は、月が満ちていく時期に経験したことの意味を理解し、先へ進むために、自分自身の内面と向き合う時である。月が欠けていく時期の性質は、月が満ちていく時期の「行動を起こす」「新しいことをはじめる」という性質とは対照をなしている。

カースティー・ギャラガーは、月相生活についての著書の中で、月相に合わせた生活を送っている人たちでも、月が欠けていく時期には何もしないという人が多いものの、月が欠けていく時期に深く自分の内面を見つめることで大きな効果が得られると書いている。月が欠けていく時期に私たちがすることは、その次のサイクルで月が満ちていく時期に作り上げるものの土壌をなすという意味で、月が満ちていく時期にすることと同じくらい大きな影響力を持つ。月が欠けていく時期はまた、月が満ちていく時期に経験したことを振り返り、そこから学んだことをほかの人たちと共有するのに適した時期でもある。

パウンガーとポッペによれば、月が欠けていく時期(新月を含む)にはデトックス、取り除く、清潔にする、吐き出す、硬くする、乾燥させるといった性質がある。身体への影響という点で言うと、この時期が持つデトックス、取り除くといった性質を反映して、普段より食べる量が増えてもすぐには体重が増えない傾向がある。ということで、月が欠けていく時期は(体重を減らしたい人にとっては)食事制限によるダイエットをするのにより適している。新月はデトックス的作用が最大限に働く日なので、断食をするのによい日であり、新月の日に断食をすると多くの病気を防げると言われている。また、月が欠けていく時期にはリラクゼーションやデトックスのためのマッサージをすると、月が満ちていく時期よりも効果が出やすい。

月が欠けていく時期が持つデトックス、取り除く、清潔にするといった性質は、洗濯や掃除のような家事においても効果を発揮するので、月が満ちていく時期よりも月が欠けていく時期のほうが洗濯ものはきれいになりやすいし、掃除もより簡単に済むとされる。

8つの月相

🌑 新月

🌒 三日月

🌓上弦の月

🌔 十三夜

🌕 満月

🌖 種蒔き月

🌗 下弦の月

🌘 バルサミック・ムーン(二十六夜)

新月

新月は8つの月相のうち一番はじめの月相で、完全な暗闇の状態から約3日半のあいだ続く期間。新月は今回の月相のサイクルで叶えたい夢や希望をイメージし、それらを叶えるためには何をどこまで(あるいはどうやって)するとよいか決めるのに適した時期である。この時期はまだ行動を起こす時ではなく、計画を立てたり準備したりするための時期。

新月で大事なことは、方向性や集中するべきことを決め、今回の月相のサイクルにしっかりした基盤を作ることである。こうすることで、今回のサイクルのあいだ前へ進んでいくことができるし、ほかの人だとか日常生活の色々な用事だとか、もはや信じなくてよい自分の中の古い考え方だとかに自分の夢や希望を叶えることを邪魔されなくて済む。

もしかすると叶えたい夢や希望が数え切れないくらいたくさんあるという人もいるかもしれないが、それらすべてを1回の月相のサイクルで達成しようとすると大変なので(たぶん日常生活を置き去りにして月相生活にかかりきりということになる)、1回の月相で1つの夢に集中するほうがシンプルでわかりやすく、現実的である。残りの夢や希望には、次回以降のサイクルで取り組むことができる。月相のサイクルは黙っていても次から次へとまわってくるし、新月は1年に12〜13回くらいあるので、心配しなくても大丈夫である。

月相生活初心者という人は、なるべく小さなこと、自分の手に負えることを今回のサイクルで達成する目標として設定するのがおすすめ。というのも、人生を(あるいは世界を)変えるような大きな夢を実現すべく月相生活を送ることには全く問題はないのだが、夢や希望によっては叶うまでに何十回、何百回のサイクルという長い期間が必要な場合もある。たとえばあなたの夢がおそろしく壮大で、「不老不死を手に入れたはじめての人間になる」というようなものである場合はなおさらで、これを叶えるには一体何回のサイクルが必要かはわからないが、とにかく相当な回数のサイクルが必要だと思われる。

というわけで、はじめから壮大な夢に取り組んで打ちのめされたりするよりも、まずは小さなことからはじめるほうがいい。月相生活に慣れてくれば、最初の頃よりは楽にもっと大きなことに取り組めるようになるだろうし、1回の月相のサイクルだけではなく、何回分かのサイクルを使って1つの夢を叶えるということもできる。

先にも書いたように、月相生活には正解も間違いもなく、それぞれがその人独自の方法で月相に合わせた生活を送っている。ただし、いくつか共通している要素もあって、「書きとめる」というのがそのひとつである。たとえば、新月に自分の夢をイメージし、今回の月相のサイクルで具体的に何をするか決める際に、考えたことを書きとめておく。書くのが面倒な場合は、スマートフォンの(あるいは何かほかの機器の)録音機能を使って記録を残しておくこともできる。

書きとめたり録音したりすることで、自分が叶えたいこと、そのためにしようと決めたことを月相のサイクルをとおして思い出すことができるし、それらを繰り返し眺めたり声に出して言ったりすることで、自分の夢や、それを叶えるためにしようと決めたことが持つエネルギーと、自分自身のエネルギーとをうまく調和させることができる。声に出さずに心の中で繰り返してもいいのだが、アファメーション(ポジティブな言葉を繰り返すこと)のように声に出したほうが、自分の言っていることをより素直に受け入れられるかもしれない。

新月の日は、月が欠けていく時期の最後の日で、デトックス的効果が最大になる。

今回の前の月相のサイクルで、手放したかった何か(自分自身を縛っている習慣だとか、人間関係だとか、自分やほかの人に対する不信だとか)をうまく手放すことができなかったと感じている人にとっては、新月の日は必要のないものを手放すのによい日である。ただし、これは新月が起こる正確な時刻にしなければいけないということはない。新月はかなりの早朝や真夜中に起こることもあるので、そういう場合は朝目が覚めてから「手放す」儀式(たとえば下に書いたようなキャンドルの儀式)をしても全く問題はない。やはり月相に合わせた生活とは言っても現実だとか限度だとかいうものもあるので、誰かが毎回新月の起こる瞬間に儀式をしていたりしたら、月だってそれを見て「ずいぶん月相に忠実に生活している人がいるんだな……」と驚くに違いない。

月相生活を送る人たちの中には、キャンドルとか天然石とか、ちょっと特別なものを使う人たちもいる。キャンドルを使いたいという人は(そして新月の日に「手放す」儀式をする場合は)、新月の日にキャンドルの儀式をするのもいいかもしれない。キャンドルの儀式というのは、次のようなものである。

  1. 手放したいものをすべて紙に書く(1枚の紙に書いても、ひとつずつ違う紙に書いてもいい)
  2. 手放したいものを声に出して言う(「私は自信のなさを手放す」というように)
  3. ①の紙にキャンドルの火をつけ、紙を耐火性の容器に移して燃え尽きるのを眺める(念のため事前に水の準備を忘れずに)

このキャンドルの儀式はデトックス的効果が最大限に発揮される新月の日にしてもいいし、満月の月相のあいだにしてもいい(満月は、もう必要のないものは何かがはっきりとわかる時期でもあり、月が欠け始める時期でもある)。あるいは新月と満月の両方にキャンドルの儀式をするという人もいるかもしれない。いずれにせよ色々試してみる中で、自分に一番合う日や月相、方法を見つけるのがおすすめ。

キャンドルのほか、月相生活で天然石を使いたいという人は、たとえばこういう使い方もできる。

  1. 新月の時期に、天然石を手に持ちながら自分が叶えたいことを声に出して、あるいは心の中で言う。もし必要であれば、天然石に何かメッセージやアドバイスがほしいと伝えたり、自分を守ってくれるようにお願いしたりする。
  2. その天然石を普段から身につける、または身近なところに置いておく。満月までのあいだ、瞑想(ひとつのことに気持ちを集中させること)する時に天然石を傍に置く、毎日少しのあいだでも天然石を手に持つといったことで、自分が叶えたいことや、そのためにしようと決めたことを繰り返し思い出すことができる。
  3. 満月後は、月が満ちる時期に自分が経験したことの意味を振り返って理解する、もう自分には必要のないものを手放す、あるいは自分自身を癒すための手助けを天然石にお願いする。

三日月

細い光が姿を現す三日月の時期は、今回の月相で取り組むと決めたことを達成するために準備し、動き出すよう、月が私たちを促す時。三日月のキーワードは拡大であり、英語のcrescent(三日月)という単語には、語源的には「成長しつつある」という意味がある。この言葉のとおり、月の光が増すにつれて、月相のサイクルの勢いも増していく。

三日月の時期は、夢や希望を実現するために必要なものや知識を得て、行動に着手する時。すぐに取りかかれそうならば、自分がすべきことをはじめればよいのだが、やるべきことはやたらと多いのにほとんど成果が見えなくて、不安だったりストレスを感じたりする人もいるかもしれない。こういうことは何か新しいものを作り上げようとする時によく起こることである。

新たな月相のサイクルはまだはじまったばかりだし、三日月は簡単にあきらめないことを学ぶための時期でもある。今回の月相で叶えたいこと、そのためにしようと決めたことを意識するために、それらを声に出して言ったり、モチベーションを上げるために、夢や希望が叶った時の様子を具体的に想像してみたりするのもいいかもしれない。このほかアファメーション(たとえば「私は自分自身と、自分の夢を叶える力を信じる」)もおすすめ。

上弦の月

上弦の月は満月の前、半月の頃で、月相のサイクル全体で考えると4分の1の地点。月は日々光を増していき、私たちに夢や希望を叶えるためのエネルギーやアイデアを与えてくれる。上弦の月は、行動を起こす時である。

月相によるタイプ分け(月相占いと呼ばれることもある)を提唱したルディアは、上弦の月を「行動における転換点(a crisis in action)」と呼んでいる。というのも、上弦の月の頃には私たちは①過去(古くなった考え方や感じ方、行動の仕方など)と決別する、②新しい構造(新しい考え方や感じ方、行動の仕方など)を作り上げるという2つのうちどちらか、または両方をせざるを得なくなるからで、①や②は満月の頃、何かを成し遂げたという地点に立つために必要なことだとルディアは言う。私たちが①や②をうまくやり遂げれば、満月で何らかの達成を見たり、それまでわからなかったことがわかり、新たな理解を得たりする。けれども中途半端にしかしなかった場合は、今回の月相のサイクルで得られるはずだった成長の機会、新たな理解や気づきを得る機会を逃すことになる。この時期に根づいたものはよかれ悪しかれその後も育ち続けるという意味でも、上弦の月は重要な月相である。

上弦の月では、私たちは何か新しいものを作り出す、あるいは何かを新しい方法でするというプロセスにいる。この時期には自分がすべきことに集中し、もしも何か(この夢を実現するのは無理なのではという疑いだとか、言い訳だとか)が自分を邪魔するようならば、それを書きとめるとか録音するとかして、記録しておく。自分を邪魔するものを手放す必要があると思った場合は、この時期にそうするよりも、月が欠けていく時期を待つほうがおそらくいい。月が欠けていく時期にはデトックス、取り除くといった性質があるので、何かを手放すのに向いている。上弦の月は、自分を邪魔するものはきっぱりと拒否して、夢や希望を実現することに集中するための時期である。

十三夜

満月直前のこの時期には、夜眠れないという人が多い。十三夜は、私たちが新月で描いた夢を実現するためにしなければならないことを終わらせられるよう、月が余分にエネルギーを与えてくれる時期。この時期は、ものごとをきちんと仕上げる時である。ただし、もうすぐやり遂げられそうなのにまだほんの少しだけやらなければならないことがあるというような、ちょっとストレスを感じやすい時期でもある。十三夜では、夢の実現のためにまだ何が必要かを見極め、月が、あるいは太陽が、あるいは宇宙だとか神だとか、どう呼ぶかはその人の自由だが、とにかく何かが自分に必要なものはすべて与えてくれていると信じて、するべきことを完了させるのが最も大切。

上弦の月は私たちが新しいものを育てるような時期だが、一方で十三夜は、ものごとを安定させるという性質を持つ。これら2つの月相の性質に、月が満ちていく時期の「吸収する」力が加わって、情報や栄養に加えて人間関係など、とにかく何でも私たちが取り入れるものは、特に上弦の月や十三夜の時期には私たちの中で育ち、蓄積されやすい。ということで、この時期は取り入れるものに注意しなければならない時期でもある。よいものを取り入れればそれが私たちをよい意味で成長させてくれるだろうし、逆に害のあるものだとか中毒性のあるものだとかを取り入れれば、そういったものはおそらく月が欠けていく時期よりも簡単に吸収され、私たちの中で育っていくことになる。

満月

人間は太陽の光を直接見ることはできないが、日々移り変わる月相を観察・分析することで太陽の動きを把握できる。太陽の光をあますことなく観察し、分析できることから、西洋占星術では満月は客観性がピークに達する時期とされる。

月相のサイクルでは満月はひとつの到達点である。新月からここまでのあいだ、私たちが何をどの程度成し遂げたかを月はその光のもとに照らし出す。つまり、私たちが何か新しいもの(新しい考え方や感じ方、行動の仕方など)を作り上げ、今回の月相で叶えようと思った夢や希望を実現できたかどうか、その結果がわかるのが満月の時期(新月ではじめたことは、満月までに達成しようと思っていたかに関わらず、満月の頃に何らかの結果が出るということになりやすい)。

満月は、私たち自身が新しいものを作り上げ、達成しようと思っていたことをやり遂げられたなら(仮にすべてをやり遂げられたわけではなくその一部であっても)、自分のした努力を認めて自分自身を褒め、助けてくれたすべてのものや人に感謝するための時。

そしてそのあと、まだ満月の時期に、徐々にで構わないので新月から満月までのあいだに自分がした経験について振り返る作業をはじめると、次の新月までの期間をうまく使うことができる。というのも、満月の月相には月が欠けていく数日間も含まれていて、欠けていく時期は満ちていく時期を振り返り、その意味を理解するための期間だからである。

もしも自分が達成しようと思ったことが達成できなかったという場合には、原因を考えてみるとよいかもしれない。原因はたとえばほかの人たちとか仕事の忙しさのように自分の外側にあるかもしれないし、自分自身への、そして自分には夢を叶える力があるということへの不信というように、自分の内側にあるかもしれない。

新月で叶えようと思ったことが実現できてもそうでなくても、満月の時期は、新月から満月に至る期間を振り返るという作業をはじめる時。満月までのあいだ、何かが自分を邪魔してすべきことに集中できなかった、それを手放したいという場合には、アファメーション(たとえば「私は自分自身への不信を手放す」)をしたり、キャンドルの儀式をするとよいかもしれない。あるいは自分を邪魔するものは自分の外側にあるという場合、仕事のスケジュールを組み替えて自分のための時間を確保するというように、実用的に対処することもできる。

何かを手放すための作業を終えたら、新月で叶えたいと思った夢について、このあと自分がどうしたいかを考える。自分が何か新しいもの、たとえば新しいライフスタイルだとか、ものの考え方だとかを作り上げることができたと感じている場合は、そこで終わりということではなく、引き続きその新しい何かを生活に取り入れたいと思うかもしれない。

他方、今回は叶えたいと思った夢を実現できなかったけれど、やはりまだこの夢を現実のものにするために頑張りたいという場合は、月が欠けていくあいだ、新月から満月までの期間を振り返り、次の月相のサイクルでその夢を実現するためにどうすればよいか考え、準備することもできる。

もしも新月の時に叶えたいと思ったことにはもう興味がなくなってしまったなら、その夢を手放して次へ進むことには全然問題はない。ただし、その場合でも、月が満ちていく時期の経験を振り返り、次のサイクルで何をしたいかを考えるというのは、(満月を含め)月が欠けていく時期にするのに向いている作業である。

ところで満月は、月が私たちの感情を根こそぎ表面に引っ張り上げるので、かなり感情的になりやすい時期である。しかし感情に振り回されるとたいていの場合ろくなことにならないので、満月の時期にはカメのように落ち着き払って過ごすほうが賢明なように思える(カメでなくてもいい。たとえば仙人だとか、あるいはきゅうりだとか、とにかく何でもいいのでここは自分にとっての「穏やかさ」「落ち着いているもの/人/生き物」の象徴と置き換えて読んでほしい)。

月相のサイクル全体で考えると、満月はちょうど半分の地点。私たちは新月の時期に新たなサイクルをはじめて、満月までのあいだ夢や希望を叶えるために行動を取る。そして満月の時期には、それまでの月が満ちていく期間を振り返るという新たな過程に入る。この意味で、新月も満月も新たなはじまりである。

種蒔き月

満月から徐々に光が欠けていくにつれて、自分のエネルギーが「行動を取る」ということから「自分の内面を見つめる」ということへと移っていくように感じる人もいるかもしれない。種蒔き月は、満月に続いて、月が満ちていく期間を振り返るための時。自分がすべきことをきちんと仕上げるための努力が必要とされる満月直前の十三夜と同じように、種蒔き月もちょっと大変な時期だと感じる場合もあるかもしれない。ただし、種蒔き月の大変さは、「理解する」ということにともなう大変さであることが十三夜との違いである。

種蒔き月は、月が満ちていく時期に自分がした経験の意味を理解するための時期である。そのために、たとえば新月から満月までのあいだを振り返って、何がうまくいって何がうまくいかなかったか、何を変える必要があるかを考えるとよいかもしれない。また、種蒔き月は、月が満ちていく時期に得た情報や知識に不足があるという場合、不足している部分を埋め、次のサイクルをよりよく使うためにどうすればよいか、補完した情報/知識をもとに考えるのにも向いている時期である。

月が欠けていく時期には自分の内面を見つめる力が強く働く。この時期には、私たちは表面的な理解を超え、月が満ちていく時期に自分がした経験の意味を深く広く探ることで、その意味について自分独自の理解に達する必要があり、また、そうすることができる。月が満ちていく時期の経験を理解するということには、自分が作り上げた新しいもの(新しい考え方や感じ方、行動の仕方など)についてよく考えるということも含まれる。新しいものを作り上げる中で、ある才能だとか能力だとかがそっと(あるいは華麗に)開花したはずで、その才能や能力は今後伸ばしていくべきものである。自分が作り上げた新しいものをじっくりと観察し、今後伸ばしていくべき才能や能力を見極め、そしてそれを伸ばしていくにはどうすればよいかを考えるというのが、月が満ちていく時期の経験を理解する際に必要とされることのひとつである。そして自分が作り上げたものがほかの人たちにとっても役立ちそうであれば、それをほかの人たちにもわかりやすい形で伝え、共有することもできる。

月が欠けていく時期、特に種蒔き月と下弦の月は、コミュニケーションに適した時期でもある。ルディアは満月後の月が欠けはじめる月相を種蒔き月と呼んでいるが、これはこの月相に生まれた人たちが、よい意味で自分が感銘を受けたものを周囲に、あるいは社会的に広めることが多いからだとしている。そのため、その準備ができていると感じている場合、種蒔き月は、今回の月相のサイクルで自分が学んだことをより広く伝えるという作業をはじめるのによい時である。種蒔き月はまた、自分で何かビジネスをしているという人の場合、その仕事や自分が伝えたいことをより多くの人たちに知ってもらうために使うこともできる。月が欠けていく時期は何か新しいことをはじめ、全力を尽くして取り組むのに適した時期ではなく、ペースを保つ時期なので、種蒔き月では新月にはじめたことを続けるほうがよく、それが自分の提供しているサービスや商品をより広く知ってもらうことにつながりやすい。

下弦の月

下弦の月は月相のサイクルの中で二度目の半月である。ただし、一度目の半月である上弦の月では光が満ちていくのに対し、下弦の月では光が欠けていく。下弦の月は、今回の月相のサイクルでするべきことを仕上げる時期である。

この時期には、私たちは月が満ちていく時期を振り返る作業を終え、その作業をとおして学んだことを具体的な形にする必要がある。ルディアは下弦の月を「意識における転換点(’a crisis in consciousness’)」と呼んでいる。これは、私たちが新月から満月までの経験を振り返って得た知識や信念や意見を具体的に表すことができるかどうかは、この時期にかかっているという理由による。下弦の月は、具体的な形として表した自分の考えや信念などをほかの人たちと分かち合うのによい時。

月相生活では何かを手放す作業をする時期がいくつかあるが、下弦の月は、月相のサイクルで最終的に何かを手放すための時期でもある。それが自分の考え方であれ、行動のパターンであれ、人間関係であれ、私たちは下弦の月の時期には自分にとって必要のないものを手放し、次の(あるいはそれよりも先の)新しいサイクルのためのスペースを作る必要がある。

何かを手放す方法は人それぞれで、たとえばミラーリング(毎日鏡の前で自分の姿を見ながらポジティブな言葉を繰り返すこと)がいいという人もいるし、アファメーションがいいという人も、日記をつけることがいいという人もいる。何がいいかわからないという場合は、いくつかの方法を試してみて、自分に一番合っている方法を選ぶのがよいかもしれない。

月が欠けていく時期にはデトックス、取り除くといった性質があるが、下弦の月の頃にはこういった性質の影響が強くなるので、この時期には自分がしたくないことを先延ばしにするのは避けたほうがよいとされる。これは、先延ばしにすることで不要なものを自分の中に留めることになり、この時期が持つ性質に反してしまうため。もしも何か先延ばしにしていることがあれば、下弦の月はそれを済ませるために使うとよい時である。

バルサミック・ムーン(二十六夜)

バルサミック・ムーンの頃には、月はその光がほとんど見えないくらいに細くなる。この時期はもうすぐ終わる今回のサイクルから、新しくはじまる次のサイクルへと移っていく時期。

私たちはこの時期には、地中深くに眠り、外の世界へ出て行く時を静かに待つ植物の種のように、体と心を休め、次のサイクルに備える。バルサミック・ムーンは、今回の月相のサイクルで自分が学んだことや自分が見た景色を、次の(あるいはそれよりも先の)サイクルの土壌とするにはどうすればよいかを考えるための時。

この時期には太陽の光ではなく、月の暗闇の領域がピークとなる。西洋占星術では月は無意識を象徴するため、バルサミック・ムーンは私たちが無意識の世界とつながりやすく、直感が冴えやすい時期とされる。

この時期には、意識や論理では説明できないような無意識の世界のものごとが見えやすく、あるいはそれらに気づきやすくなる傾向がある。たとえば、次の月相のサイクルで何をしたいか、予想もしていなかった時に予想もしていなかったことを突然思いつくかもしれない。または何か未解決の問題があったなら(それが月相生活に関係あるにせよないにせよ)、解決策のアイデアが急に自分の脳内に降ってくるかもしれない。いずれにしても、なぜ自分がそんなことを思いついたのかを説明するのはおそろしく難しいか、あるいは説明はできないのではないかと思う(何しろそれは説明不能な無意識という場所からやって来たのだから)。

この時期は新しく何かを始めるのに向いている時期ではないので、実現したいことがひらめいたとしても、具体的に計画を立てる、行動を起こすといったことは次のサイクルまで待つほうがおそらくよい。

バルサミック・ムーンは月相のサイクルの中でエネルギーが最も低下する時期なので、疲れを感じる人もいるかもしれない。もし疲れているなら、次のサイクルではどんな夢を叶えたいか、そのイメージを頭の片隅に抱きつつ、ゆっくり休み、自分を癒すための時。

十分に休んで癒されたなら、次の月相のサイクルをエネルギー全開ではじめることができるだろうし、次のサイクルを意味のあるものにできるだろう。

意味のあるサイクルとは何なのか? 私たちがあるサイクルの中で叶えたかったことを達成できたなら、それは喜ぶべきことである。けれども大切なのは、私たちが叶えたいことを達成するために、そして、自分がした経験の意味を理解するために力を尽くしたことが、そのサイクルを意味のあるものにするということである。

文献

(1) Rudhyar, D. (1967).  Lunation Cycle: A Key to the Understanding of Personality. Aurora Press.

(2) Garfinkle. R. A. (2020). Luna Cognita: A Comprehensive Observer’s Handbook of the Known Moon. Springer.

(3) Gallagher, K. (2020). Lunar Living: Working with the magic of the moon cycles.  Yellow Kite.

(4) Spencer, E. (2018). Lunar Abundance: Cultivating Joy, Peace, and Purpose Using the Phases of the Moon. Running Press.

(5) US Department of Health and Human Services. (2018). Physical Activity Guidelines for Americans (2nd ed.). US Department of Health and Human Services.

https://health.gov/sites/default/files/2019-09/Physical_Activity_Guidelines_2nd_edition.pdf

(6) Department of Health and Social Care. (2019). Physical Activity Guidelines: UK Chief Medical Officers’ Report. Department of Health and Social Care.

https://www.gov.uk/government/publications/physical-activity-guidelines-uk-chief-medical-officers-report

(7) 鏡リュウジ. (2016). 『鏡リュウジのルネーション占星術』. 説話社.